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羽生千夜一夜 

羽生さくる 連続ブログエッセイ

腕が泣く

悲しいとき。

うれしくて笑顔だけでは間に合わないとき。

 

両手の薬指が、遠い湖から涙を呼んでくる。

周りの樹々を映す、碧い湖。

わたしの涙はぜんぶそこにある。

 

吸いあげて腕のなかへ。

腕は震える。

まず腕が泣いて、肩が泣く。

そこから瞳に流れこんであふれだす。

 

碧い涙。

指で拭う。

湖にひたしたように指が濡れる。

 

 

 

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