19歳の1月3日。
初めて好きになった人とお茶を飲んでいた。
「水車」という喫茶店。
レモンは厚切りで紅茶に沈んでしまい、青い文字のハンコがくっきり見えた。
わたしの隣には観音竹の鉢があった。
うん、うん、とうなづくたびに、観音竹の葉っぱの先が頬に刺さる。
それでもうなづいていたら、彼が話をやめて、わたしのほうへ手を伸ばしてきた。
「これさ」といって、葉っぱをくるりと丸めて結んだ。
先は頬からそれた。
横目で見てみたら結び文の形。
それからは安心してうなづけた。
頬に刺さらないのを確かめては二人で笑った。