羽生千夜一夜 

羽生さくる 連続ブログエッセイ

映画の時間2

育児まっただなかの時期に洋画のビデオやDVDに耽溺したのは、映画のなかで自由を感じられたからだと思う。

ウッディ・アレンの『カイロの紫のバラ』を地でいくような日々。

 

新作だからとなにげなく見た『追跡者』で、FBI捜査官役のロバート・ダウニーJr.がヘリコプターから降りてきたとき、わたしは真夜中の居間で声に出さずに叫んでいた。

「この人だれーっ」

 

それからは彼の出演作のビデオを探しに探して次々に見た。

当時彼はドラッグの問題で刑務所に入ったり、矯正施設に入ったり、どん底の時期を送っていた。

わたしはアメリカのファンクラブのメーリングリストに参加して、英文を読み書き。

大学入試で使っても無事だった英和辞典の背綴じが剥がれるほどの熱心さだった。

 

彼の主演作を立て続けに劇場で観られるようになったこの数年、安堵の涙を禁じ得ない。

アリー my Love』途中降板の悪夢が嘘のようだ。

 

映画館で上映される予告編で彼を見るようなときもとてもうれしい。

「ロバートくーん」と小さく手を振っているのだ、暗いのをいいことにして。

 

 

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