一人の夜に
母が入院して5か月。
一人で過ごす夜が続いている。
自分以外に物音を立てる者のない静けさ。
自分が置いたものはいつまでもそこにある。
お皿も洗わなければ洗われないまま。
部屋という箱のなかで、エネルギー保存の法則を暮らしているかのよう。
20代のころにも一人暮らしをしていたから、知らないことではなかったけれど、いま味わうのはまた新しい感覚だ。
こどもたちの存在も大きい。
自分が送りだした命とのつながりを感じながら、一人でいること。
とても頼もしい。
これまでの時間がいっせいに咲いたような、華やかな気持ちになる。
さあ、紅茶をいれて、サブレを食べよう。
夜のおやつ。
お風呂はまだまだ。