できるようになったことを
こどもは泣くことしかできない状態で生まれてくる。
そこから一つ一つ、ときにはいくつかのことをいっぺんに、学習して、できることを増やしていく。
それが成長だ。
ほとんどの(恵まれた)母親は、こどもの産声を聞く。
そして、こどものたった一つのできることを喜び、涙さえ流すのに、それから幾月も経たないあいだに、早くも、なにかができないことを嘆きはじめる。
できないことは無数にある。
自分も同じ。
できることは少しずつしか増えない。
少しずつしか増えない数と、無数とを比べたら、前者は完敗だ。
自分でさえがっかりするようなことを、こどもたちにはしたくない。
息子が幼稚園生のときに、そう思うようになった。
こどもにはこどもの、できるようになりたいことがある。
それを尊重し、見守るだけで十分ではないだろうか。
彼らができるようになったことを、一つ一つ、ともに喜ぶ。
育児はその積み重ねだ。
いつも喜びをもって、見守っていたいと思う。