羽生千夜一夜 

羽生さくる 連続ブログエッセイ

夜のパンジー

大学通りの花壇に、パンジーが植えられている。

わたしの夕方の買い物時間はだいたい6時過ぎで、寄り道するから、帰りに大学通りを渡るのは7時くらいになる。

冬場はもちろんいまも、7時にはもう暗い。

横断歩道のほとりのパンジーも暗いなかで、白と黄色と紫のと、それらが混ざった種類のと、たくさん咲いている。

 

信号が赤でわたしはパンジーの横で待っている。

車が通り過ぎる。

ヘッドドライトが花壇をかすめ、パンジーを明るく照らす。

白と黄色がぱあっと目に入ってくる。

 

その一瞬にはっとして、次の車を待つ。

バイクが近づいてくると、バイクでもライトは届くかなと期待する。

バイクでは届かなかった。

 

夜のなかに咲くパンジー。

わたしが通りを渡って、家に着き、夕食を作って食べて、いまこうしているときにも、あそこで咲いている。

パンジーと心が通じ、パンジーが自分のような気がしてくる。

家に帰ってきたのはパンジーで、今夜はまた寒いなあとぼやきながら咲いているのがわたしなのかも。

 

 

 

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