痛みとともに
よそったばかりの豚汁に、お椀を持っていた左手の親指を突っ込んでしまった。
ラーメン屋さんのやる気のない店員みたいな形だと瞬間思ったが、そんなこといってられない熱さ。
豚汁って脂が溶けてるから、豆腐とわかめみたいなスタンダードなお味噌汁より温度が高いのではないだろうか。
立派にやけどした。
やけどには馬油が効く。
すぐにつけたのだけれど、痛みが引かず、いまも保冷剤から親指が離せない。
せっかくの豚汁を一杯分無駄にしたくなくてお椀を放り出せず、調理台に置くまでの数秒しっかり漬けていたからだろう。
それでなにがいいたいかというと、痛いところがあるとき、文章は考えられないなあと。
親指の腹、たったの切手半分くらいの大きさのやけどが痛いだけで、まともな文章が綴れなくなる。
人生の五分の四、ほとんど毎日文章を書いてこられたのは、わたしがそれだけ健康だったということだ。自分の体と、それを生かしてくれている生命の源に感謝しよう、
う、う、う、痛い。
今夜は早引けさせてください。