羽生千夜一夜 

羽生さくる 連続ブログエッセイ

美容番長一人遊び

真夜中の自撮り遊びをしていたら、あやうくブログを書くのを忘れそうに。


メイクを落とす前に、眉毛をいつもより太く描いてみて、写真で様子を見たり、チークの加減を試したり。


一人でやってることだから、誰にも迷惑はかからないとはいえ、誰にも見られたくないひとときだ。


鏡で見ているとわからないことが、写真を撮るとわかるのは確か。

右目が小さいのは、形よりも笑いかたの癖なんだなとか、唇も注意しないと片頬だけで笑ってる感じになっちゃうなとか。


そして品を作った自分の顔が恥ずかしくなって、ぜんぶ削除したり。

世話はない。


初恋時代、彼と会ってきて自分の部屋に戻ると、すぐに鏡を見た。

この顔がさっきまで彼の目に映っていたんだ、と思うと、鏡の中のわたしの目から涙がポロポロこぼれてきた。


楕円形のスタンド式の鏡だったっけ。

ちょうと顔がぴったり収まった。

見れば見るほど泣けて、そのうち机につっぷすのだ。


いまなら写メを撮るところか。

写メなら、ほんとうに彼の目に映った自分が見られるのだから。