羽生千夜一夜 

羽生さくる 連続ブログエッセイ

カリフォルニア・ドールズ

地元のTSUTAYA4枚1000円の2クールめ。

カリフォルニア・ドールズ」を入れてみた。

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=4827

 

名作と聞いて、ビデオ時代にも借りたことがある。

そのときにも感激したのだけれど、きょうはもう、感激以上、まるでわがことのように感情移入して見た。

 

しがない女子プロレスのしがないマネジャー、ピーター・フォークのなんと魅力的なこと。

女性レスラー二人のなんと品のよい、清潔な美しさ。

ストーリーはきれいごとではないし、マネジャーは相当のやさぐれ男。

女性たちも傷つきながら闘いを重ねていくのだけれど、全編がとても清々しい。

心を裸にしてありのままで生きている三人だからだろう。

 

画の美しさも胸にしみるようだった。

とくに、マネジャーが、雪の積もった公衆電話で売り込みの電話を掛けるところ。

雪と公衆電話とピーター・フォークと背景が完璧なバランスで、わたしはモニターにすがりつきたくなった。

このワンシーンのために、DVDが欲しくなった。

 

女子プロレスには品が不可欠」というマネジャーの言葉通り、彼女たちの私服もリングでのコスチュームも上品で趣味がいい。

メイクもヘアスタイルもナチュラル。

マネジャーの女性に対する趣味のよさと要求水準の高さが伺える。

堅気じゃない男性が女性に清純さを求めるあたりは、わたしの好みにもぴったり。

 

そしてこれは、闘志の映画であると同時に、愛の映画でもある。

男女の愛、仲間同士の愛、コーチと選手の愛。

血はつながっていないけれど、姉妹のような愛、親子のような愛、家族のような愛。

以前は見てもわからなかった機微がいまはわかる。

この三人で、愛のすべてが網羅されているかのようだ。

 

成熟した監督の映画ということだろうか。

ロバート・アルドリッチ監督、これが遺作だそうだ。