羽生千夜一夜 

羽生さくる 連続ブログエッセイ

わたしに似合う靴、靴、靴はないかしら 2

マシモさんの靴はこどもたちも履いている。

息子は3歳から、娘はまだ歩けないうちから。

地面に最初に降りたときに履いていたのも、マシモ調整靴。

娘は外で転んだことが2回しかないし、息子は違う靴を履いたとたんに、膝が痛いと泣いた。

 

最初のころは、日本のメーカーのスニーカーには中敷きが入っていなかったので、靴より高いドイツ製の中敷きを入れていた。

数年して、日本のスニーカーにも調整できる中敷きが入るようになり、コストダウン。

 

成長期のこどもの足は大人の足より大事だ。

かぽかぽする靴を履かせるのは、安全面でも、その後のことを考えても、控えたほうがいいと思う。

 

わたしのほうは、こどもたちが大きくなって、ようやくパンプスを履くことができるようになった。

8年前のことだ。

細い木型で作っている日本のメーカーの黒の中ヒールを調整してもらった。

女性に戻った気分で、うれしかった。

 

その後は、ココアブラウンのエナメルのサンダルや、ロングブーツ、黒とワインのコンビのローファー、黒のストラップつきの踵のほうが低くなっているもの、同じ形のネイビーのエナメル、ショートブーツ、とお洒落のできる靴を履くようになった。

 

そして、ついに去年の春、ハイヒールに挑戦。

間下さんはピンクベージュのエナメルを推してきたが、ワンピースも黒だから、と必死に抵抗して、黒の足首寄りにストラップのある7㎝ヒールを買った。

渋谷まで観劇にいくときに下ろしたが、帰りはさすがに疲れて足全体が痛くなった。

 

間下さんによれば、わたしは踵が小さいのだそうだ。

だから、細い木型で、踵の締まったものでないと、足が前にすべってしまって指が重なって痛くなる。

踵を細い履き口でホールドし、足首に近いところをストラップで留めて、中敷きの土踏まずの上部にふくらみをつけて足裏をそこでひっかけるようにする。

そこまでしてようやくわたしのハイヒールとなるわけだ。

すべては曲線の3Dで調整されている。

間下さんの頭のなかは、立体をくるくる回せる4Dになっているのではないかと思われる。

 

またつづく。