羽生千夜一夜 

羽生さくる 連続ブログエッセイ

祈りの光

こどもの重い病気について考えるとき、心と体は無力さに沈んでいく。

自分のこどもたちが小さいころ、なによりも怖いのは病気や怪我だった。

ほんとうに幸いにして二人とも、病気も怪我も、軽いものを経験するだけで大きくなった。

 

でも、こどもたちの健康を気遣う気持ちは、二人だけでは終わらない。

わたしは、こどもの命という大きな集合体のなかの、二つを育てた。

その期間が終わっても、こどもの命に携わった母親の一人として、いま育ちつつある命への思いは続く。

 

どうか健やかに、どうかなにごともなく、あったとしても軽く、すぐに笑顔を見せて欲しい。

それが叶わないことがあるなんて、想像だけでもしたくない。

 

でも、それが叶わないことはあるのだ。

母親は命を生み出すことはできても、守りきることはできない。

無力な存在だ。

 

ただ、祈ることはできる。

思いつづけること、愛しつづけることはできる。

無力さのなかの、光。

それを絶やさずにいること。

 

世界じゅうのこどもたちに、健やかな明日がきますように。

 

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