羽生千夜一夜 

羽生さくる 連続ブログエッセイ

水筒持参

温かい飲み物を入れて持ち歩くマグや水筒が好きで、いくつも持っている。

お茶代節約のために持ち歩くものだとすれば、お茶は外で何杯でも飲むし、マグはいくつも持っていて、幾重にも浪費なのだけれど、どちらも好きだからしかたない。

 

映画館の売店で飲み物を買うのはうきうきすることだが、さあ、これから映画にいくぞ、と意気込んで家のキッチンで水筒にお茶をいれるのも楽しい。

映画館に入って、座席を探して、飲み物ホルダーに自分の水筒を入れるときの満足感。

わたしはこんなに用意万端で映画観にきちゃったんだから、と聞いてくれる人がいたらいいたい。

(ここでは省くが、おしりが痛くならないようにクッションも持参している)

いないから自分にいいながら、まだ明るいうちに最初の一口を飲む。

 

ここで注意しなければならないのは、マグの保温力である。

ほぼ百発百中で舌をやけどする。

最初の一口だけでなく、二口め以降でも同じことだ。

暗いなかで、加減がわからず傾けすぎて多量に口に入ってきてしまった場合、映画の中盤以降にもやけどの怖れがある。

 

最近ようやく知恵がついて、家でお茶をいれたら、出かける間際まで蓋を開けておくということを覚えた。

しかし、あまり開けておきすぎて、持っていくときからぬるくなっているのはまたつまらない。

やけどかぬるいかを秤にかけたら、やけどを取る。

喫茶人はお茶をゆっくり飲むために、ぬるいお茶を飲む時間のほうが長いが、最初の一口からぬるい飲み物は受け付けないのだ。

 

いれていくお茶は、ルイボスティーかハーブティ。

時間が経っても渋くならないカフェインレスのものがいい。

乾燥が気になる季節にはそこにメープルシロップをいれていく。

映画の最中に咳込んだりしないように。

 

使い勝手でいえば、映画のときは、蓋を取らないで飲めるいわゆる「ワンタッチボトル」が便利だ。

ただし、飲み口が小さいからますます保温力が高くなっていて、やけどの危険性が高まる。

次回は、出かけるぎりぎりに蓋を閉めようと思う。