羽生千夜一夜 

羽生さくる 連続ブログエッセイ

生涯カジュアル

自分の服の趣味を考えてみたとき、端を発しているのは十代。

中学高校が私服で、毎日、きょうはなにを着ていくかを考える必要があった。

中学の最初のうちはブレザーの上下などを着ていたが、すぐにカジュアルになり、ジーンズもよく履いた。

 

とにかく、なにを着ていってもよかったから、好きな服の傾向がおのずと決まる。

わたしは髪を短くしていることが多くて、ボーイッシュな路線だった。

アイビーに凝った時期もある。

 

大学に入ったころから、DCブランドといって、日本のデザイナーの服がブテッィクやファッションビルに出回るようになった。

女の子っぽいブランドにも、スタイリッシュなブランドにもそれぞれ惹かれて、たくさん買った。

こどもが生まれるまでずっとそんな感じ。

当時の服がいまだに「家庭内ビンテージ」として着られるのは、DCブランドの質のよさを物語っているのではないだろうか。

 

それで、現在はどうしているかというと、新品もオークションも、フランスのカジュアルブランドのみ。

大人の女性のための店では買ったことがない。

デパートでもつねに素通り。

 

わたしはいったいいつ、大人の服を着るのだろうと、さっき外玄関のオートロックを開けながら思った。

もう一生無理ではないかとすぐに答えが出た。

ここまでこうならもう先は見えているでしょう。

スナップカーディガンよ永遠に。