羽生千夜一夜 

羽生さくる 連続ブログエッセイ

They can't take that away from me.

フレッド・アステアの歌に、


君の帽子のかぶりかた

君のお茶のすすりかた

その思い出のすべて

誰も僕から奪えない

 

という詞がある。

 

映画では女性をかきくどく歌だけれど、思い込み人間としては、もっとせつない解釈もしてしままう。

 

愛する人を失いたくないと、激しく願っても叶わないとき。
叶わなかったとき。

それでも失われないものがある。

 

ひらめくほどに軽やかで、手にのるほどに小さくて、確かなもの。

そこに頬を寄せて愛はつづく。