羽生千夜一夜 

羽生さくる 連続ブログエッセイ

職人さんはゆっくり歩く 1

お昼前後に街に出ていると、職人さんが二三人連れ立って、お昼御飯を食べにいくかお店から出てきたかしたところに遭遇する。

「ワークマン」スタイルの彼らは、のんびりした表情で、きまってゆっくり、ゆったりと歩いている。

その様子を見ると、わたしはわけもなく楽しくなってしまうのだ。

 

たとえていうならば、男の人が空港にいて、勤務の明けたフライトアテンダントさんが数人、キャリーバッグを引いてやってくるところを見かけたような気分...かな...

 

お昼の休み時間は街にもどこかのどかな空気が流れていて、ゆっくり歩く職人さんたちは、その流れの速度とゆらぎにぴったり合っている。

現場は近くてまだ時間に余裕はあるから、急ぐ必要もない。

 

職人さんたちは、おしなべて重心が低い。

地面に足が着いている。

歩くときも後ろ足の踵に重さが残ってゆったりするのだ。

それも男らしくてかっこいい。

 

これまでにも何回か書いてきたけれど、職人さんの思い出を少し続けて書いてみようと思う。

最初は品川の大工さんから。

お楽しみに。