羽生千夜一夜 

羽生さくる 連続ブログエッセイ

いまがいちばん

同級生が集まると「加齢なる嘆き」が始まるようになった。

中学高校続いた女子校なので、何百回集まっても女性ばかり。

さっぱりしたものなのだけれど、それだけに、なのか、嘆きはかなりマジである。

知力体力の衰え、体型変化、肌の悩み、モチベーションの低下...

 

わたしにも気がかりがないわけではないが、どんな状態にあっても、自分をけなしたくないという頑なともいえる気持ちがある

 

自分にけなされたら、誰が慰めてくれるだろう。

周りの人はもしかしたら「そんなことないよ、まだまだぜんぜんよ」などといってくれるかも知れないが、そのために人に嘆きやぼやきを聞かせるというのも、楽しかるべき時間の無駄遣いではなかろうか。

 

もう一つ、わたしが加齢を嘆かない理由がある。

かつては体力がまったくなくて、なにをするにもいちいち疲れていた。

少し元気になってきたところでこどもが生まれて「子育て幽霊」といわれるほどの状態に。

いまそのころの写真を見ると、こどもたちも「ママやせてたねえ」というし、自分でもまるでかげろうのようだと思う。

体力がついてきたのは、ほんのこの数年なのだ。

だから「若いころ」にできなかったことがいまできる、なんてことにもなる。

 

体型も、中年太りと区別がつかないという指摘もあるが、手足はいまがいちばん太い。

以前は『バグズライフ』の蟻みたいだったのだから、いまは毎日がうれしく楽しい。

 

このままいって、いまがいちばん元気なのよ、と喜んでいる老婦人になれたらいいなあ。