冬至に
冬至のけさ。
朝日を見ようと、きわめて珍しく早起きしてみた。
部屋着にセーターとコートを着て、誰にも会わないことを願って素顔に帽子をかぶって。
しかし、早起きしたことがないから知らなかった。
アパートを出たところはガレージが左右にあって、空が開けているのだけれど、稜線は家々にさえぎられ、朝日を見るまでには当分時間がかかることを。
日の出の時間。
屋根の際が明るくなっていく。
「やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて」
と思い出すものの、あれは春だった。
しばらくのち。
家の高さから考えて、もう朝日はすっかり上がっただろうと思いなし、それからは散歩に切り替えた。
それほど寒くはなくて、空気は清々しい。
早起きっていいものだ。
素直に思えた。
自転車に追い越され、男性とすれ違い、女性ともすれ違った。
部屋に戻ってから、その三人のことをなにか親しく思い出した。
彼らは冬至だから早く出てきたわけではなくて、いつもの時間帯なのだろう。
あしたからは日がだんだんと長くなる。
寒さに向かうのに、日は長くなっていく。
そのことがうれしくて、つまり、きょうはわたしにとっては一年でいちばんうれしい日。
そして今夜は一年でいちばん長い夜。
知るかぎりの人たちの、温かなひとときを祈って。