羽生千夜一夜 

羽生さくる 連続ブログエッセイ

2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧

はじめての吟行

けさは銀行へいく用事があったが、その後は吟行だった。 いつの日か俳人同様になることを夢見て、かつての同級生と語らい清澄庭園へ。 はじめてながらやる気十分の彼女たちに遅れまいと、庭園に一歩入った瞬間、わたしは自分の感覚がぱあっと開いていくのを…

お値打ち

靴、ランジェリー、化粧品、アクセサリー。わたしは、自分が入れ込んだものを人に薦めるのがうまい。どれも、いってみればマニアックなもので、一般的な製品に比べたら値が張る。この「値が張る」というのがわたしのキャッチフレーズ。なにをするにも値が張…

S&S 奉仕と犠牲

東京女子大学の校章は、二つのSを90度に重ねた形。 service(奉仕)とsacrifice(犠牲)の頭文字だ。 プロテスタント系の大学なので、どちらの言葉も、聖書においての意味で理解する。 「神」「主」「イエス」に「尽くし仕える」すること、そのために自分を…

自己紹介文

娘が大学のメディアの授業で自己紹介文を10個書かされたらしい。 わたしは<形容詞/連体詞><名詞>です、という形で。 見せてもらったら面白かったので、母エッセイストとしても書いてみよう。 (娘は「エッセイストの娘」も使っていたし) わたしは、品…

なじめない

前々から、スパッツやレギンスへの疑問(なぜタイツではいけないのか)をあちこちで投げかけている。足首を不粋に横切る裾線。あれがあるだけで「脚を出していることにならない」という暗黙の了解があるらしいが、脚の線は見えている。細かろうと太かろうと…

中間報告

片づけてわかったことの一つは、わたしはノートをめったやたらと持っているということだった。 なにか書きたくなったときのために、ノートとペンがバッグに入ってないと落ち着かないし、文房具店でちょっといいノートを見つけるとつい買ってしまう。 したが…

まさかの片づけ

その本は避けて通っていた。 最初に見たのは中央線の車内のドア横に掲示された広告だったと思う。 『人生がときめく片づけの魔法』(近藤麻理恵著・サンマーク出版)。 かわいらしい女子大生のような著者近影と「片づけ」のギャップ。 それにしても「人生が…

夜という字

「夜」という漢字を習ったのは小学校2年生のときだったろうか。 こくごのノートに何度も書きながら、この字はおかあさんに似ていると思った。 書けば書くほど、おかあさんに見えてくる。 そっくりだった。 そのころの母はやせて、頬骨が出ていた。 ほお骨の…

わたしの命

こどもたちの命のことを書いたから、必然なのだろう、自分の命のことを考えた。 わたしは長いこと、自分の命を許せなかった。 わたしは、父が別に家庭を持ちながら、母を愛して生ませたこどもだった。 自分がこどもを持ったとたん、その出自をますます苦しく…

こわかったこと

育児していて、いちばん怖かったのは、こどもたちが死んでしまうことだった。 それは妊娠がわかったときから、始まっていたのだと思う。 息子のときはつわりもなくて、妊娠中は元気いっぱいだったのだが、娘はつわりから始まって後で気づいたくらいで、安定…

説教するときは

こどもたちそれぞれと一対一の関係を結ぶということに関連して、もう一つ。 わたしが無意識のうちに避けられたことがあった。 自分が一人っ子だったために、息子に対して「おにいちゃんなんだから」という言葉が出てこなかったのだ。 「おにいちゃんなんだか…

一対一の関係

リンドバーク夫人の『海からの贈物』(吉田健一訳・新潮社文庫)を初めて読んだのは、まだこどもを持つ前だった。 文章のなかで印象的だったのは「こどもたちはきょうだいが何人いようと母親とは個別の関係を持ちたがっている」というくだりだった。 わたし…

空月謝 2

娘は、生後1か月から兄の送り迎えにつき合わされた。 どんなに熟睡している状態でも、家に置いていくわけにはいかない。 寝たまま抱っこして送っていき、家に帰ってベビーベッドに下ろすと起きる。 ベビーカーでも同じだった。 移動中は寝ているが、帰ってく…

空月謝 1

息子と娘は、地元の同じ幼稚園に通った。 3学年違いなので、わたしにすれば連続6年、送り迎えで通ったわけだ。 しかし、そのうち1年は、それぞれが半年ずつ登園拒否。 ともに年中組のときだったが、理由は違った。 息子は、最初、あるともだちが工作を踏みつ…

臨時休筆

ただいま、iPhone操作の不手際により、電源が落ちて、書いてた文章すっかり消えました。地味に立ち直れません。誠に勝手ながら、今夜はお休みとさせていただきます。みなさま、よい夢を。

予告編から

育児のお話は一晩お休み。ともだちが見てきた映画の予告編の話を、またリレーで書いてみる。それは恋愛映画の予告編で、こんなナレーションが入ったんだそうな。「誰が好きか、ではない。誰といるときの自分が好きか、だ」さすが、予告編。きゅんとさせてく…

おべんとつけてどこいくの

このところ育児とこどもについて書いているから、街でもますますこどもたちに目がいくようになった。 いま東京は寒いのだけれど、この前の土曜日は春らしい陽気に恵まれた。 ともだちを迎えに最寄り駅までいく道で、こどもたちの鼻歌をいくつも聞いたし、笑…

紹介します。

街で出会うこどもたちと、言葉や表情でコミュニケーションしていると、こどもたちの生まれもった礼儀正しさをしばしば感じる。たとえば、ベビーカーに乗っている一歳未満の赤ちゃんは、目が合うと会釈してくれる。赤ちゃんも会釈するのだ。しないと思ってい…

ベビーカーの観察者

息子と娘は3歳11か月離れている。 娘が生まれて1か月で、息子は幼稚園に入った。 徒歩で保護者が送り迎えする幼稚園だったから、生後1か月の娘を「スナグリ」」という、カンガルーのポケットのような抱っこひもに入れていった。 娘は小さくて、気がつくと、…

文字を覚える

応答型ママだったわたしは、読み書きについても、こどもたちの求めに応じたのみだった。息子は幼稚園の年長組のときにポケモンを始めた。忘れもしない緑色のゲームボーイ。彼はそれを一日に何十回となくわたしのところに持ってきて、聞いた。「なんて書いた…

おむつクロニクル

夜も遅いのでもう大丈夫かな。 きょうはおむつの話。 これからご飯の方はのちほどまたお読みください。 長男育児中、わたしはずいぶんストイックだった。 完全母乳育児のためにマッサージに通い、玄米菜食を貫いた。 肉、卵、乳製品、油、砂糖、白米、白パン…

わかっている

こどもはどんなに小さくても、周りを観察して、状況を把握し、記憶もしている。 わたしがそれを実感したのは大学生のときだった。 わたしは両親と三人で品川のマンションに住み、マルチーズを飼っていた。 家は7階で、散歩にいくときはもちろんエレベータを…

子は育つ

育児の話を始めようかと思う。2000年に『わたしのままでママになる』を大和出版から上梓した。当時はこどもたちが8歳と4歳。まさしく育児の真っ最中だった。現在二人は23歳と19歳。育つものだなあ。「わたしがあっても子は育つ」って本を書こうかしら。いま…

きもちを伝える

自分の気持ちを口に出すことがどうにも苦手だ。こんなに自分の気持ちばっかり書いているのに?嘘でしょう?といわれそう。自分でもそう思う。書くときは、引かれるくらい自分の気持ちばっかり書いているのに、書くことを離れると、目の前の人にはなかなか、…

What's Going On

きょうは息子の生まれた日。きのうの夜中に前期破水で入院して、朝御飯までは元気で10時頃に、あれ、痛い、かな。そこからはどどどっときて、夕方の5時前に生まれた。助産師さんに「安産でしたねえ」といわれ、えええー、こんなに辛かったのに、と思ったら、…

ブログの親しみ

芸能人のブログを読んだことはいままでほとんどなかった。とくに興味のある人がいなかったからだけど、きのう、元宝塚花組の蘭寿とむさんを、宝塚スカイステージ(専門チャンネル)で見ながらプロフィールを検索していてブログに飛んだ。1年前に男役トップで…

自分を、信じる

きのうの自信の話のつづき。 得意なものに自信があって、不得意なものや苦手なものには自信がない、という前提が違うのではないかと思えてきた。 自信が「自分を信じる」ことなのであれば、なにかが得意だから自分を信じたり、なにかが不得意だから自分を信…

自信ある?

ともだちのブログからのリレーエッセイぽく書いてみる。 「自信」って、なに? わたしは自信を持ててる? 自信のない自分は嫌い? 全幅の信頼、という言葉がある。 100%信じています。 イメージとしては100%以上、深皿にラップをぴっちり掛けるように信じて…

Why Mac?

先月来、友人二人から「Macの使い心地」について質問を受けた。 それぞれに、Macbook Airの購入を検討しているらしく、また二人ともこれまではWindowsを使っていたようだった。 Windowsからの移行はスムーズにいくだろうかという質問に対しては、19年間Macし…

一つめの夜

きりもよく、本日4月1日から、連続エッセイpart2を始めます。 次の目標は、千と一本。 ここはアラビアにはあらねど、シェヘラザードにならって語る所存にございます。 千夜一夜といえば、演芸マニアのわたしには漫才コンビの名前でもある。 青空千夜一夜。 …