羽生千夜一夜 

羽生さくる 連続ブログエッセイ

2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

学級日誌

日直がその日の授業内容や連絡事項を書いておく学級日誌。 わたしたちの中学高校にもあった。 欠席した生徒のために、日直が一晩持ち帰って詳しく書く。 それ以外のことも自由にたくさん書いていた。 イラストを描く子もいたし、いま考えていることや、悩み…

スイカズラ健康法

いまでも健康情報は大好き。 ん?と二度見するようなものには、ぱっと飛びつくわけだが、我ながら目が肥えているので、精度は高い。 健康は美容にもつながるから、女性としても、前に進めているように思う。 それはそれとして、病気になる可能性というものを…

元気すぎる印

元気についての話をしよう。 暗いエピソードになってしまって恐縮だが、わたしは7歳と10歳と13歳のそれぞれの夏、拒食症になった。 ふっくらしてくると痩せ、また年相応になってくると痩せることを繰り返し、すっかり痩せ型になった。 18歳くらいまでは、食…

わたしに似合う靴、靴、靴はないかしら 3

自分が入れこむと、ともだちにも薦めまくるのが、わたしの悪い癖。 でも、外反母趾や膝痛、腰痛に悩む人は周りにほんとに多い。 歩きかたを見ていると、膝を曲げて腰をかがめ、猫背になって肩を巻き込んでいる。 顔もうつむき加減だ。 間下さんは断言してい…

わたしに似合う靴、靴、靴はないかしら 2

マシモさんの靴はこどもたちも履いている。 息子は3歳から、娘はまだ歩けないうちから。 地面に最初に降りたときに履いていたのも、マシモ調整靴。 娘は外で転んだことが2回しかないし、息子は違う靴を履いたとたんに、膝が痛いと泣いた。 最初のころは、日…

わたしに似合う靴、靴、靴はないかしら 1

息子が生まれてから、育児のあまりの大変さに、健康法マニアになった。 インターネットがまだ一般的ではない頃で、本や雑誌、パンフレットを読み込んで、電話で問い合わせる。 編集者の情報集めの技術と勘を集中的に使っていた。 これだ、と感じたものはすぐ…

結果を出す

一年以上前、母がまだ冗談を連発していたころの話。 母とわたしと娘、三代でアパートでお茶を飲んでいた。 娘が高校でも大学でも、男の先生にかわいがられていると話すと、母は当然だという。 「そういう血筋なんだから。年上の男性に受けるのよ」 ただし、…

もともと違うから

こどもたちはそれぞれ性格が違う。 当たり前のことだけれど、息子は、わたしが同じように育てたのに、どうしてこんなに正反対なのだろうかと疑問に思うらしい。 娘は「もともと違うからでしょ」と気にも留めていないところがまた違っていて、面白い。 母とし…

型破り

娘は3月生まれ。 3歳と1か月で幼稚園に入った。 幼稚園までは歩いて15分くらいかかる。 歩いて登園したのは初日だけだった。 ほんの1か月前まで、息子の幼稚園の送り迎えにベビーカーでつきあっていた彼女。 自分がいくときにもベビーカーでいく、と宣言した…

げんきにあいさつ

育児のうちには、社交を教えるという側面もある。 道で知っている人に会ったら挨拶をしなさい、というような。 「女は愛嬌。ブスはぶすっとしてるからブスなんだよ」 という乱暴な教育を受けたわたしは、ツンデレは叶わない器量であることを自覚もし、とにか…

すべってゆく

山手線の線路沿いの道に、立体駐車場があった。 どの駅とどの駅の間だったかは覚えていない。 外壁は緑色の細かいタイルで覆われていた。 電車から見えている側にスロープがあって、その傾斜に合わせて壁が菱形に切り抜かれていた。 電車の座席に座っている…

押すな押すな

常日頃より、穏やかな人間になろうと心がけている。 電車などに乗っても、マナーのよくない人にフォーカスしたりしないように、たとえ見つけても、人の振り見て我が振り直せだな、と気を取り直すようにしている。 でも、そういう努力をしているということは…

button in ear

ぬいぐるみが好きだ。 歩けるようになったころに、最初に買ってもらったハンドバッグが犬のぬいぐるみになっていて、それがとても気に入っていたそうだ。 そのとき以来だから、つまり、ぬいぐるみとともに生きる一生なのだ。 いままでに持っていたいちばん大…

読書中

きょうは読書に没頭していて、文章を書いている時間がない。 正確にいうと「時間が惜しい」。 目力、といっても眼力ではなくて、目のパワーも惜しい。 頭は疲れなくても、目が疲れて読書を中断しなければならないのが残念だから。 わたしとしたことが、本を…

テキストの時代

携帯電話とインターネットの普及は、いまだかつてないテキストの時代をつくっている。 つまり、メールやSNSやTwitterやブログなどで、20年前とは比べ物にならない量の文章や言葉が、世界をゆきかっている。 個人のレベルでいうと、いま大人の世代なら、20年…

寒くない?

母がいま、わたしにできる問いかけは、たった一つ。 「寒くない?」 「寒くないわよ」と答えると、 「そう、わたしは寒くて寒くて」という。 話しているのは老健施設の食堂だから、わたしは母の部屋からケープや膝掛けを取ってくるが、じっさいには寒いわけ…

夢の名残り

けさがたまで、とてもリアルな夢を見ていた。 目覚めているときの現実となんら変わらない、一つの世界のなかにいた。 内容は少しも覚えていない。 「リアルな夢だった」ということしか。 それはそれでいい。 夢は夢、こちらの現実は現実。 ただ、一日、起き…

校正仮面

職業柄、街なかでも言葉と文字が気になる。 看板や張り紙は、おそらく目に入る限り読んでいることだろう。 二階にある居酒屋が舗道に面した階段の上がり口に貼っている惹句の短冊ですら読んでしまい、あまつさえ誤字を見つけて、足は遠ざかっていくのに気持…

恋するおみくじ

川越の氷川神社にお参りして、引いたおみくじから。 ちなみに末吉だった。 待ち合わせ 暗い、人の少ない場所は避けた方がよい。 一読爆笑。 それは避けたほうがいいに決まってるもの。 こちらがそんなところを指定したら、相手はなにごとかとびくびくするだ…

片づけと体力の充実

かつてわたしは、失くしものと探しものばかりしていた。 いまは「ばかり」ではない。 かなり、減ってきた。 この春、いわゆる「片づけ」をしたのも大きいと思う。 失くしものが多かったころは、いつも疲れていて、頭のなかにも余裕がなかった。 いま手に持っ…

電車の音

わたしの部屋は、線路沿いから数えて2本めの通りにある。 これからの季節はとくに、窓を開けていると電車の音が聞こえてくる。 母を迎える前に、部屋の準備をしていたとき。 わたしのベッドの配送を待って、夜、まだなにもないここに一人でいたことがある。 …

カリフォルニア・ドールズ

地元のTSUTAYA4枚1000円の2クールめ。 「カリフォルニア・ドールズ」を入れてみた。 http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=4827 名作と聞いて、ビデオ時代にも借りたことがある。 そのときにも感激したのだけれど、きょうはもう、感激以上、まる…

ベビーカステラ

お祭りの決まりはベビーカステラ。 ホームタウン品川でも買ってきた。 神社の境内の夜店のなかで、ベビーカステラの屋台だけは長い行列。 おいしいと確信して後ろについた。 並んでいるあいだに、焼いているおじさんの様子を見る。 うーん、どうも見覚えがあ…

アパートの窓

ホームタウンのお祭り。 もう7年ぶりくらいになるだろうか。 ふっと気持ちがほどけて訪ねることができた。 二つの神社にお参りし、町のなかで住んだところを三か所とも回った。 13歳から27歳まで住んでいたマンションは、外壁の色は変わっていたものの立派に…

6月5日

きょうはある同級生の一周忌。 在校中にはつきあいはほとんどなかった。 覚えているのは、腰高のスタイルと大きな瞳、豊かでおおらかな笑顔。 アメリカの女の子のような印象だった。 亡くなったと聞いてすぐに思い出したのも、彼女の笑顔で、いまも頭上に浮…

イノセンス

きょうは打ち明け話。 罪悪感を持たずに生きる。 昨年来、あちこちからそういう言葉が聞こえてきていた。 もっといえば、罪悪感を捨てる。 それが幸せになる方法だと。 わたしは罪悪感のオーソリティだった。 捨てようとすると、非常な葛藤が起こる。 それで…

番長の祈り

息子となにげなく見ていたお昼のテレビ番組で、10分でメイクをしてくれるスタジオが紹介されていた。 合コンや同窓会前の女性たちに大人気、だそうで、これまでの利用者が25000人とか。 25000人とはすごいものだと単純に感心したが、取材に答えているチーフ…

ヤマボウシ

かじりかけのくせに生意気だが、俳句は感情でつくるものだと自分の句を通して理解した。 先週の2回めの吟行で、ヤマボウシの花を詠んだ。 花びらというには、平面的で大きい。 木の花らしい厚みがあって、輪郭がくっきりしている。 ペーパークラフトのようだ…