羽生千夜一夜 

羽生さくる 連続ブログエッセイ

学級日誌

日直がその日の授業内容や連絡事項を書いておく学級日誌。

わたしたちの中学高校にもあった。

欠席した生徒のために、日直が一晩持ち帰って詳しく書く。

それ以外のことも自由にたくさん書いていた。

 

イラストを描く子もいたし、いま考えていることや、悩みごとを書く子もいた。

わたしはやはり、エッセイみたいなものを書いた。

 

翌朝、担任の先生に渡すと、帰りの時間までに赤ペンで、いまでいう「レス」をつけてくださるのがまた楽しみだった。

先生方にもユーモアがあって、なにを書いても、受けてくださるのだった。

 

前の子が書いたことから考えたことを書くこともあったし、ふだんの教室では知ることのない、その子の心のなかを知ることもできた。

わたしにとっては、エッセイの発表の場でもあったし。

人に読んでもらう文章を書くことの楽しさは、学級日誌から始まったともいえる。

 

クラスも学校全体にも、こうでなければいけません、のような決まりが少なくて、運営はつねに自由だった。

それがいまのわたしたちの基礎になっているし、それがまた、社会との擦り合わせどころにもなっている。

 

誰かが保管してくれていたら、読みたいなあ、学級日誌。