羽生千夜一夜 

羽生さくる 連続ブログエッセイ

そしてテーマ

一人称を選び、書く相手を定め、文章のモードをイメージして。

ではおもむろにテーマを。

 

テーマは、相手に伝えたい感情から起こしていくといいと思う。

また恋文にたとえると「好き」な気持ち、心臓がそのままハート型になってしまったかのようなどきどきする気持ち、それを伝えるために、なにについて書いたらいいか。

 

そのまま「すきすきすき」って書いても伝わるのだけれども、相手がその手紙を読み終わったときに「す、き」と心に残るような書きかたもある。

残すための、テーマ選びなのだ。

 

文章自体は、読まれる時間によって流れていくが、感情から起こしたテーマで書いてあると、ときに、読んだ相手のなかで同じ感情が立ち上がる。

書き手と読み手が文章によって感情を分かち合うわけだ。

その感情は流れない。

半分は読み手自身のものだからだ。

 

喜怒哀楽、そしてそれらのグラデーション。

どんな感情であっても、相手に伝えたい気持ちをまっすぐ見つめ、そこから書くことを考える。

すべての場合に共通するのは、相手を大切に思う気持ちだ。

リアルにはまだ知らない相手を大切に思う気持ち。

それは必ず伝わり、相手はその先を読んでくれるだろう。