モードを決める
一人称、書く相手、の次は。
まだテーマではなく。
モードを決める。
モードとはたとえば、真面目モード、仕事モード、遊びモード、ともだちモード、みたいに考えてもいいし、服装のモードでたとえてもいい。
簡単にいえば、カジュアルかフォーマルか。
カジュアルはいまどきはなんでもありだけれど、自分の好みのくだけた服装はどんな感じだろうか。
フォーマルも、なんとかソワールみたいな、それさえ着てればまちがいがないお仕着せタイプか、自前のリトルブラックドレスとジャケットの組み合わせなのか。
大事なのは、きのう決めた相手と会うのにふさわしい格好を考えることだ。
カジュアルといっても、自分も相手ももう大人だから、デニムを履くならセーターはカシミヤにしようとか、アクセサリーも本物のパールつけたいなとか、靴はスエードのパンプスはどうかなとか。
文章にそれをあてはめると、気取らない調子で書くけれど、言葉は品よく選び、クラシカルないい回しもはさみつつ、洒落た終わりかたにする。
モードのイメージをしっかり描いておくと、文章全体に調和が保てる。
セーターを着ているのに麦わら帽子をかぶるようなアンバランスなことは起こりにくくなる。
自分の文章だからいつも同じ個性を表さなければならない、ということはない。
そのときに決めた相手に合わせて、モードはどんどん変えていいのだ。
一つの文章で一つのモードが貫かれていれば、その文章における自分の個性が立つ。
美容室でファッション雑誌を見たり、街を歩いてウィンドウショッピングをしたりすることが、文章をシックに磨いてくれる。
文章は文章を書いてないときにも書いていると知って、目の前のものを存分に楽しんでくれたまえ。