羽生千夜一夜 

羽生さくる 連続ブログエッセイ

心が豊か

お金がなくてもいい。

地位も名声もいらない。

小さい家でもいい。

贅沢なものを持っていなくてもいい。

心が豊かならば。

 

そういう話を聞くとわたしは思う。

お金や地位や名声、贅沢な暮らしと、心とを、なぜ天秤にのせるのだろうか、と。

心以外のものが豊かになると、心は貧しくなるのだろうか。

 

心は、いつも自由で、もともと自由だ。

心は、その容れ物である体がどんな状態のときでも豊かで温かくありたい。

そうあることができるのが、心が自由ということだ。

 

体にとって逆境といえるようなときにだけ心が豊かになるということはないし、体が楽をしていたら、心はどんどん貧しくなるというのでは、体が浮かばれないではないか。

 

豊かな心は、泉のようにわき上がってけして涸れない。

外の条件には左右されないものだと思う。