羽生千夜一夜 

羽生さくる 連続ブログエッセイ

はじめての漢字

わたしのうちにテレビがきたのは2歳のとき。

そしてわたしは一つの漢字を覚えた。

「終」。

 

ドラマでもドキュメンタリー番組でも、最後に出るのはこの漢字。

「おわり、おわり」と連呼していたらしい。

 

次に覚えた漢字は「三福会館」。

角隠しをしたお嫁さんの絵にかぶるこの四文字。

結婚式場のコマーシャルだった。

いつかお嫁さんになるという夢に「さんぷくかいかん」というリアリティが加わった。

 

ずっと大きくなってから、三福会館の本物を見つけた。

車のなかからで、看板の文字だけだったけれど、興奮した。

あったあ、あそこださんぷくかいかーん。

 

そういえば、さんぷくかいかん時代のわたしは、こどもというのは、結婚を一回したら一人生まれるものだと思っていた。

自分が一人っ子なのはおとうさんとおかあさんが一回しか結婚をしなかったからだと。

弟か妹が欲しいから、もう一回結婚してよとささんざんせがんだっけ。

 

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