19年前の今夜、わたしは産院の個室から友人に電話をかけていた。
数時間前に生まれた娘の名前の文字をどうするか、相談するために。
名前の音は、当時3歳11か月の息子が決めていた。
クラシックな音なので、文字でオリジナリティを出したかった。
友人は美しい文字を書く教養人だったから頼りになると見込んだが、とても素敵な文字を当ててくれた。
名前をその字で書いて音読すると、もうまるで立派な大人がいるようだった。
娘の名前は、だから息子と友人との合作なのだ。
望まれて、愛されて、喜びとともにこの世界に迎えられたこと。
娘にはずっと覚えていて欲しい。