羽生千夜一夜 

羽生さくる 連続ブログエッセイ

電車の音

わたしの部屋は、線路沿いから数えて2本めの通りにある。 これからの季節はとくに、窓を開けていると電車の音が聞こえてくる。 母を迎える前に、部屋の準備をしていたとき。 わたしのベッドの配送を待って、夜、まだなにもないここに一人でいたことがある。 …

カリフォルニア・ドールズ

地元のTSUTAYA4枚1000円の2クールめ。 「カリフォルニア・ドールズ」を入れてみた。 http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=4827 名作と聞いて、ビデオ時代にも借りたことがある。 そのときにも感激したのだけれど、きょうはもう、感激以上、まる…

ベビーカステラ

お祭りの決まりはベビーカステラ。 ホームタウン品川でも買ってきた。 神社の境内の夜店のなかで、ベビーカステラの屋台だけは長い行列。 おいしいと確信して後ろについた。 並んでいるあいだに、焼いているおじさんの様子を見る。 うーん、どうも見覚えがあ…

アパートの窓

ホームタウンのお祭り。 もう7年ぶりくらいになるだろうか。 ふっと気持ちがほどけて訪ねることができた。 二つの神社にお参りし、町のなかで住んだところを三か所とも回った。 13歳から27歳まで住んでいたマンションは、外壁の色は変わっていたものの立派に…

6月5日

きょうはある同級生の一周忌。 在校中にはつきあいはほとんどなかった。 覚えているのは、腰高のスタイルと大きな瞳、豊かでおおらかな笑顔。 アメリカの女の子のような印象だった。 亡くなったと聞いてすぐに思い出したのも、彼女の笑顔で、いまも頭上に浮…

イノセンス

きょうは打ち明け話。 罪悪感を持たずに生きる。 昨年来、あちこちからそういう言葉が聞こえてきていた。 もっといえば、罪悪感を捨てる。 それが幸せになる方法だと。 わたしは罪悪感のオーソリティだった。 捨てようとすると、非常な葛藤が起こる。 それで…

番長の祈り

息子となにげなく見ていたお昼のテレビ番組で、10分でメイクをしてくれるスタジオが紹介されていた。 合コンや同窓会前の女性たちに大人気、だそうで、これまでの利用者が25000人とか。 25000人とはすごいものだと単純に感心したが、取材に答えているチーフ…

ヤマボウシ

かじりかけのくせに生意気だが、俳句は感情でつくるものだと自分の句を通して理解した。 先週の2回めの吟行で、ヤマボウシの花を詠んだ。 花びらというには、平面的で大きい。 木の花らしい厚みがあって、輪郭がくっきりしている。 ペーパークラフトのようだ…

はこうよ、スカート2

大人スカート運動を開始したばかりというのに、きのうはスパッツを履いて遠出してしまった。 (暑かったから...) たしかに身軽で、愛用者が多いのもうなづける。 うなづけるが、身軽なだけに動きが「ひょいひょい」してしまって、エレガンスからは遠ざかる…

シャンデリア揺れる

日比谷で同級生たちと会食していたら地震。揺れが長く、重そうなシャンデリアがいつまでも揺れていた。東北大震災のときもレストランのシャンデリアの下にいた。怖かったのと、家に帰りつくまでの寒さを思い出した。今夜も有楽町ではJRが動いておらず、有楽…

51

こどもは外出するとき、いろいろなものを持っていきたがる。 息子の最初は、電車のおもちゃだった。 手に握り込めるような小さなものから始まって、だんだんに大きくなっていった。 プラレールの3両つながりのをひきずりそうにして持っていたこともある。 つ…

句会から帰って

吟行句会第二回。 帰国している級友の歓迎行事でもあり、参加者のなかには高校卒業以来初めて再会する同士もいて、盛り上がるまいことか。 ランチをはさんでの散策とおしゃべり。 コアになる、作句の時間は15分ということで、中学入試以来(いったいいつの話…

美容番長一人遊び

真夜中の自撮り遊びをしていたら、あやうくブログを書くのを忘れそうに。メイクを落とす前に、眉毛をいつもより太く描いてみて、写真で様子を見たり、チークの加減を試したり。一人でやってることだから、誰にも迷惑はかからないとはいえ、誰にも見られたく…

born to be free

そんなモンブラン王女の娘。 マイペース、という言葉がまるで存在しないくらいにマイペースで成長した。 去年のこと、わたしは彼女に聞いてみた。 「自由になりたいと思ったことある?」 彼女はちょっと微笑んで見せてから、 「人はもともと自由でしょ」 と…

モンブラン

入園して1か月半、なかなか周囲になじめないという女の子のママの話を聞く。 たった1か月半だもの、なじめないのは無理もない、と励ます。 そもそもまだ3年しか生きていないのに、なにかが「遅い」なんてことがあるだろうか。 「早い」子はいるのかも知れな…

天パー顔

生まれてこのかた天然パーマのわたし。 略して天パー。 これからの季節、カールは激しくなるばかり。 その上一本一本細いので、寝て起きるだけでからんで鳥の巣状態だ。 美容室で、スタイルブックを見ると「天然ウエーブのようなゆるパーマ」をかけた長めボ…

青春の演劇

舞台美術を学ぶ過程にある娘と、この2年ほど、ミュージカルや宝塚を観ている。 きょうは縁あって、娘にとっては初めての小劇場でのストレートプレイ鑑賞。 俳優さんたちの感情の波が、すぐそこから強く伝わってくる。 2時間の公演が終わって、娘はもちろん、…

巻き尺

黙ってなにかを観察して、それについて考えて、自分のなかで言葉にする。 わたしは時間のほとんどをそうやって過ごしている。 見たものから以前考えたことを思い出して、またそのことについて考え、言葉を上書きもしている。 観察と言語化からは起きているあ…

いかづち

けさがたの雷は、いまだかつて聴いたことのない音と響きをもっていた。 目が覚めてすぐは、なんの音かわからなかった。 大変なことが起きたのかも知れないと思い、怖くて外が見られなかった。 音の通りの大変なことなら、外を見たくらいではどうにもならない…

はこうよ、スカート

街で見ていると、女性のほとんどはパンツ姿だ。 女子大生以上ママ未満ではスカート率が高いが、40代以上の女性でスカートを履いている人は、銀座あたりまでいかないとなかなか見られない。 地元サバーバンの街では、もうママ以上世代のパンツ率100%といって…

mindfulness

ティク・ナット・ハン師が説く「マインドフルネス」。 いま、ここ、に集中して、存在すること。 意識的な呼吸をし、意識的に歩くことで実践できるという。 わたしには幼時から、時間の外に出てしまうような感覚があった。 周りのすべてから遠ざかり、一人き…

上から順に

駅のプラットフォームにいるときなど、年上の女性になにか聞かれることがよくある。わかる範囲で答えるのだけれど「ありがとう」が聞こえないうちに彼女たちは去っていく。最近では、もう、これはそういうものなんだとあきらめていた。すると先日、街なかで…

お茶写真

そしてSNSには飽きもせず、お茶情景を撮影しては載せているのだけれど、あまりにおびただしいので、最近は遠慮がちだった。 すると友人たちから、わたしのお茶写真を見ると「ほっとする」という声が。 「自分も休んでいいんだと思える」といってくれる人もあ…

総額

わたしが外でお茶を飲みすぎていることは明らかだ。 自分のお小遣いでお茶を飲みはじめたのは電車通学を始めた中学生のとき。 それからいままでにお茶に支払ったお金はおそらく、数百万円だろう。 いわゆる「外車が買える」金額。 土地があれば家も建つかも…

山べにむかいてわれ

ミッションスクールの母校で、校歌についでよく歌われる讃美歌301番。 山べにむかいてわれ 目をあぐ 助けはいずかたより きたるか 山に向かってわたしは目を上げる 助けはどこからくるのだろうか 卒業してからも、つらいときにはこの讃美歌を思い出していた…

薔薇園にて

バラを育てているともだちが、車で10分ほどのところにある薔薇園に連れていってくれた。 百花繚乱というけれど、ここはバラだけで90%。 それも百種類ではきかない、数百種あるだろう。 あまりのことに、脳の薔薇感応細胞(これまでの一生で薔薇を見てきた経…

号泣三本

まずはお詫びと訂正。 立川シネマシティの貸し切りは、現在も会員になればできるそうです。 これを励みにがんばります。 そして、貸し切り上映作を選ぶにあたって、かつてもある雑誌のためにたくさん考えた、このテーマで三本、というのをここでも書いてみよ…

貸し切りの野望

隣町立川には映画館が二つある。 シネマシティ1とシネマシティ2。 わたしはもう7年くらい、ここの会員になっている。 年会費1000円で、平日はいつでも1000円、土日祝日は1300円で観られるので、大変お得だ。 が、しかし。 いまこれを書こうとしてサイトをチ…

あまあまママ

こどもたちの話にきょうは戻ろう。 母親として、わたしはごくごく甘いタイプだ。 彼らが幼いころ、欲しがったものは、ほとんどすべて買ってやった。 サンタさんにお願いしなさい、はいったけれど、お誕生日まで待ちなさい、は一度もいったことがない。 公園…

I am here for you 2

愛とはただ在ること... 一夜明けて考えてみると、自分のしてきたことを、そう「だめだった」「なってなかった」と否定することもないかな、と、ちょっと尊大気味に。 そのときそのときには「いまはこれが精一杯」(by ルパン三世)だった。 わがままだったこ…