祈りの光
こどもの重い病気について考えるとき、心と体は無力さに沈んでいく。
自分のこどもたちが小さいころ、なによりも怖いのは病気や怪我だった。
ほんとうに幸いにして二人とも、病気も怪我も、軽いものを経験するだけで大きくなった。
でも、こどもたちの健康を気遣う気持ちは、二人だけでは終わらない。
わたしは、こどもの命という大きな集合体のなかの、二つを育てた。
その期間が終わっても、こどもの命に携わった母親の一人として、いま育ちつつある命への思いは続く。
どうか健やかに、どうかなにごともなく、あったとしても軽く、すぐに笑顔を見せて欲しい。
それが叶わないことがあるなんて、想像だけでもしたくない。
でも、それが叶わないことはあるのだ。
母親は命を生み出すことはできても、守りきることはできない。
無力な存在だ。
ただ、祈ることはできる。
思いつづけること、愛しつづけることはできる。
無力さのなかの、光。
それを絶やさずにいること。
世界じゅうのこどもたちに、健やかな明日がきますように。